Vol.25 私の一番すきな場所 (2021年8月)

ある小学生の女の子が、突然「私の一番好きな場所はどこだと思いますか？」と尋ねてきました。「お家かな？」と返事すると「違います」と答えました。「じゃあ日本かな？」「アメリカかな？」と冗談交じりで話していますと「ニュートンですよ」と答えました。「ニュートンに通い始めた頃は、あまり勉強ができなかったけど、今は他の人が分からない時に教えられるようになって嬉しいから」と答えて、その子は再び教室の中に戻っていきました。それは、授業が始まる１時間以上も前から、誰よりも早く来て１人で自習をしている最中のことでした。私がその直後に、同じ教室まで行って様子を見てみますと、その女の子は、ただ１人で勉強をしていましたが、他の子が分からないところを教える機会を待っているのだと私は初めて気付きました。

「学校よりもニュートンの方が楽しい」と言って下さるお子様はよくいますが、「一番すきな場所」とまで言ってくれたお子様は、初めてでした。勉強ができるようになっただけでなく、教えることもできるようになり、嬉しくてたまらない思いがその子の中にあったのでしょう。授業が始まる１時間以上も前に、誰もまだ来ていない教室にいたくなるほどに勉強を教えることが楽しいと感じるとは、とても幸せなことだと思います。そんな思いで普段から通塾してくれているお子様がいることを知り、私自身も嬉しさが湧いてきますし、同時にお子様の人生の一端を担う「責任の大きな仕事」であることを改めて感じさせられました。この様なお子様がどんどん増えるような教室にしていきたいと思っています。

宮川創一