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自立型教育の失敗
皆さんは「自立型教育」という言葉をご存知でしょうか?
旧来の「詰め込み型の教育方法」を改め、「子供の自主性を尊重して育む」という教育方針です。確かに「知識偏重」の教育には様々な問題を感じますし、子供の自主性を養うことはとても大切なことです。昨今の日本でも「講師主導型学習」から「生徒主導型学習」への移行を急速に推し進めようとしているところです。
しかし、これらを先進的に推し進めた欧米諸国において、軒並み学力低下が生じて、以前には無かった様々な問題を引き起こしていることはご存知でしょうか?
例えば、かつて「自立型学習によって学力が世界トップレベルとなった」とされるフィンランドにおいて、昨今では学力が急落して学力格差が広がり、国内から「自立型教育」を否定する様々な声が出始めています。特に数学力の急落は顕著で、2003年と2006年には「世界2位」であったにもかかわらず、2022年には「世界20位」にまで転落しています。
こうした例はフィンランドに限らず、「自立型教育」を先進的に推し進めた欧米諸国ほど顕著にあらわれていることが、世界的な学力調査(PISA)から明らかとなっています。一体なぜ「自立型教育」を進めるほど、学力が低下してしまうのでしょうか?
その答えは「自立型教育の実態」を見れば納得できます。
これは日本のある小学3年生の例ですが、ある父親が「時計の計算が分からない」と子供に言われて、そんなはずはないだろうと思いつつ「2時34分の56分後は?」と難しめの問題を出してみたら「そういう問題をどう解けばいいか分からない」と言います。「(教科書に沿うと)3時まで何分かかるか考えるんだよ。何分で3時ちょうどになる?」「26分」「56分のうち26分が過ぎたら、あと何分?」「30分」「もう答えは出たでしょ」「3時30分か!そうやって解くのか!分かりました」と子供は喜んでいたそうですが、今度は父親の自分が腑に落ちなかったそうです。
「この程度の問題を学校でやっていないのだろうか」と思った父親は、子供に「算数の時間は何をしているの」と聞くと「授業では1秒って何かを話し合ったり、それを模造紙に書いてみんなの意見をまとめたり、時間があると何が便利か調べたり、時計がない時代はどう暮らしていたか考えたり…」と答えたそうです。「授業研究は大事だが、普通の授業を省かないでほしい」と父親は感じたそうです。
もう1つの例として、ある研究者がイギリスの学校を訪問した際の話です。生徒がタブレットで遊んでいる様子でしたが、この点を副校長に尋ねたところ、こうしたことは常に起きているが問題視していないと言います。廊下を歩きながら「私たちは子供達を信じています。教室の外であろうと勉強しているはずです」と副校長が語ったその瞬間、ちょうど自主学習をしている生徒たちが見えました。まさに副校長の信頼を証明する絶好の機会でしたが、生徒たちが我々に気付いた瞬間タブレットを慌てて机にしまう瞬間でした。その直前までタブレットで遊んでいたのは見るまでもなく明らかでした。
確かに、この様な実態ですと、学力が低下しても当然であると感じます。もしかすると、上記の様なお子様の実態を、既にご経験の保護者様もいらっしゃるのではないでしょうか?
ある先行研究では「生徒主導型学習」が成り立たない理由を、次のように説明しています。
———-
「生徒主導型学習」を効率的に行うには、生徒の自主性、自律性、自己抑制力、集中力、自発性、柔軟性など、様々な能力が必要である。生徒は学習目標を設定し、適した勉強方法を選び、勉強方法と進め方を計画し、課題の適切な順序を整理する必要がある。
しかし、自律性が低い生徒は、目標に向かって自らの行動を律したり、怠けたい欲求を抑えたり、学習の進捗を管理することができない。また、自律性が低いと、難問に直面した時に直ぐ諦めたり、簡単で楽しい課題ばかりに取り組みたがる。
話をまとめますと、生徒の自主性を育もうと改革したところ、生徒は「簡単で楽しい課題を自主的に選ぶ」という結果に陥り、学力も学力格差も悪化したというのです。果たして、この様な教育方法で「将来に自分の課題に直面して解決していく力」や「世の中で自分の夢を実現していく力」が身につくでしょうか?
更に興味深いのは、「学力偏重の教育は、社会有用の人物を育まない」という批判をよく耳にしますが、アメリカで最も裕福な人種(社会で成功している人種)は「白人」ではなく「アジア人」というのが実態です。
現在でも、世界で学力の上位にいるのは、シンガポールや台湾・韓国・日本といった「古臭い詰込み型教育」をしてきた東アジア諸国ですが、果たして「日本の詰め込み教育はそこまで悪いのか」「自立型学習を進める日本は、フィンランドの二の舞を踏まなくてすむのか」を、今一度、慎重に考え直す必要がありそうです。お子様の自主性を育むことは、とても大切ですが、少なくとも、それを「お子様が努力をしない言い訳」にさせないよう注意しながら指導したいものです。
※「自立型学習」や「詰め込み教育」について、更に詳しくお知りになりたい方は、以下の動画がお勧めですので、ご興味のある方は、ぜひご視聴ください。↓
24/12/03
24/11/13
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皆さんは「自立型教育」という言葉をご存知でしょうか?
旧来の「詰め込み型の教育方法」を改め、「子供の自主性を尊重して育む」という教育方針です。確かに「知識偏重」の教育には様々な問題を感じますし、子供の自主性を養うことはとても大切なことです。昨今の日本でも「講師主導型学習」から「生徒主導型学習」への移行を急速に推し進めようとしているところです。
しかし、これらを先進的に推し進めた欧米諸国において、軒並み学力低下が生じて、以前には無かった様々な問題を引き起こしていることはご存知でしょうか?
例えば、かつて「自立型学習によって学力が世界トップレベルとなった」とされるフィンランドにおいて、昨今では学力が急落して学力格差が広がり、国内から「自立型教育」を否定する様々な声が出始めています。特に数学力の急落は顕著で、2003年と2006年には「世界2位」であったにもかかわらず、2022年には「世界20位」にまで転落しています。
こうした例はフィンランドに限らず、「自立型教育」を先進的に推し進めた欧米諸国ほど顕著にあらわれていることが、世界的な学力調査(PISA)から明らかとなっています。一体なぜ「自立型教育」を進めるほど、学力が低下してしまうのでしょうか?
その答えは「自立型教育の実態」を見れば納得できます。
これは日本のある小学3年生の例ですが、ある父親が「時計の計算が分からない」と子供に言われて、そんなはずはないだろうと思いつつ「2時34分の56分後は?」と難しめの問題を出してみたら「そういう問題をどう解けばいいか分からない」と言います。「(教科書に沿うと)3時まで何分かかるか考えるんだよ。何分で3時ちょうどになる?」「26分」「56分のうち26分が過ぎたら、あと何分?」「30分」「もう答えは出たでしょ」「3時30分か!そうやって解くのか!分かりました」と子供は喜んでいたそうですが、今度は父親の自分が腑に落ちなかったそうです。
「この程度の問題を学校でやっていないのだろうか」と思った父親は、子供に「算数の時間は何をしているの」と聞くと「授業では1秒って何かを話し合ったり、それを模造紙に書いてみんなの意見をまとめたり、時間があると何が便利か調べたり、時計がない時代はどう暮らしていたか考えたり…」と答えたそうです。「授業研究は大事だが、普通の授業を省かないでほしい」と父親は感じたそうです。
もう1つの例として、ある研究者がイギリスの学校を訪問した際の話です。生徒がタブレットで遊んでいる様子でしたが、この点を副校長に尋ねたところ、こうしたことは常に起きているが問題視していないと言います。廊下を歩きながら「私たちは子供達を信じています。教室の外であろうと勉強しているはずです」と副校長が語ったその瞬間、ちょうど自主学習をしている生徒たちが見えました。まさに副校長の信頼を証明する絶好の機会でしたが、生徒たちが我々に気付いた瞬間タブレットを慌てて机にしまう瞬間でした。その直前までタブレットで遊んでいたのは見るまでもなく明らかでした。
確かに、この様な実態ですと、学力が低下しても当然であると感じます。もしかすると、上記の様なお子様の実態を、既にご経験の保護者様もいらっしゃるのではないでしょうか?
ある先行研究では「生徒主導型学習」が成り立たない理由を、次のように説明しています。
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「生徒主導型学習」を効率的に行うには、生徒の自主性、自律性、自己抑制力、集中力、自発性、柔軟性など、様々な能力が必要である。生徒は学習目標を設定し、適した勉強方法を選び、勉強方法と進め方を計画し、課題の適切な順序を整理する必要がある。
しかし、自律性が低い生徒は、目標に向かって自らの行動を律したり、怠けたい欲求を抑えたり、学習の進捗を管理することができない。また、自律性が低いと、難問に直面した時に直ぐ諦めたり、簡単で楽しい課題ばかりに取り組みたがる。
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話をまとめますと、生徒の自主性を育もうと改革したところ、生徒は「簡単で楽しい課題を自主的に選ぶ」という結果に陥り、学力も学力格差も悪化したというのです。果たして、この様な教育方法で「将来に自分の課題に直面して解決していく力」や「世の中で自分の夢を実現していく力」が身につくでしょうか?
更に興味深いのは、「学力偏重の教育は、社会有用の人物を育まない」という批判をよく耳にしますが、アメリカで最も裕福な人種(社会で成功している人種)は「白人」ではなく「アジア人」というのが実態です。
現在でも、世界で学力の上位にいるのは、シンガポールや台湾・韓国・日本といった「古臭い詰込み型教育」をしてきた東アジア諸国ですが、果たして「日本の詰め込み教育はそこまで悪いのか」「自立型学習を進める日本は、フィンランドの二の舞を踏まなくてすむのか」を、今一度、慎重に考え直す必要がありそうです。お子様の自主性を育むことは、とても大切ですが、少なくとも、それを「お子様が努力をしない言い訳」にさせないよう注意しながら指導したいものです。
※「自立型学習」や「詰め込み教育」について、更に詳しくお知りになりたい方は、以下の動画がお勧めですので、ご興味のある方は、ぜひご視聴ください。↓
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